2026 10.9 fri., 10.10 sat., 10.11 sun.
ANOUSHKA SHANKAR
artist ANOUSHKA SHANKAR
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
シタール・ミュージックの未来を拓くひとりといっていいでしょう、才人アヌーシュカ・シャンカールが遂にブルーノート初登場! ハービー・ハンコックやアルージ・アフタブ、異母姉妹のノラ・ジョーンズとのコラボなどでジャズ・ファンにもなじみ深いであろう彼女が日本でプレイするのはなんと18年ぶりだそうです。「この機会を待ちに待っていた」というファンも相当数いらっしゃるのではないかと思います。会場はもちろん超満員。2023年から年1枚のペースで続いてきた3部作『Chapter I: Forever, For Now』『Chapter II: How Dark It Is Before Dawn』『Chapter III: We Return to Light』を始めとする音楽世界が、どう生演奏で、至近距離で繰り広げられるか、誰もがわくわくしながら開演を待ったのではないでしょうか。
実をいうと私はこの日、初めてシタールをライヴで体験しました。シタール・ギターの演奏は見聴きしたことがありますが、ホンモノのシタールが持つオーラはやはり格別です。形状の美しさ、大きさ、丸いところと長いところの対比、そして余韻たっぷりのビタースウィートな音色。アヌーシュカはそれを見事に生かした曲作りを行い、シタールという楽器を"コンテンポラリーなインストゥルメンタル音楽"の中に、軽やかに溶け込ませていきます。父ラヴィ・シャンカールの演奏は厳粛にして心を鎮める感じで、1曲あたりのパフォーマンスが猛烈に長いことが多かった----という印象が個人的にはあるのですが、アヌーシュカの世界はダイナミクスに富み、時に瞑想的、時にダンサブルで、彼女が親しんできたであろう、さまざまなポピュラー音楽の要素が、1曲数分間の展開の中に詰め込まれている感じです。時にルーパーを用いて綴られるフレーズの面白さ、リフ(短い楽句)を繰り返して他のメンバーに絡んでいくところに聴き惚れ、あくまでもシタールを盛り立てながら、うねるようなバンド・サウンドを構築してゆく3人、すなわち『Chapter III: We Return to Light』のプロデューサーでもあるサラシー・コルワル(ドラムス)、ディストーションをかけた音色から"いかにもウッド・ベース"的サウンドまで多彩な響きを導き出すトム・ファーマー(ベース)、ロング・トーンを生かした吹奏が見事なアルン・ゴーシュ(クラリネット&フェンダー・ローズ)の細やかなプレイに驚嘆しているうちに、あっという間にライヴのエンディングまでたどりついてしまいました。
優しいメロディを持った「Amrita」や「Daybreak」、アルバム・ヴァージョンより思いっきり長く変奏された「We Burn So Brightly」など『Chapter III: We Return to Light』からのナンバーがたっぷり聴けたのはもちろんのこと、個人的には父ラヴィが残した、最もジャズ寄りの楽曲のひとつであろう「Fire Night」のアヌーシュカによるヴァージョンを耳にできたのも大きな収穫でした。1960年代に録音されたラヴィ版ではバド・シャンクのフルートやゲイリー・ピーコックのベースがフィーチャーされていましたが、この夜はシタールとクラリネットとベースの高速ユニゾンを織り交ぜながらの、"2026年版「Fire Night」"がすさまじい熱気と共に届けられたのです。
さあ、次のセットではどんなレパートリーを届けてくれるでしょうか。要注目の公演は11日まで行われます。
(原田 2026 10.10)
Photo by Takuo Sato
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【LIVE INFORMATION】
ANOUSHKA SHANKAR
2026 10.9 fri., 10.10 sat., 10.11 sun. ブルーノート東京

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